Mountain Side Residence


Mountain Side ResidenceのMountainは、山野、海浜などの自然を象徴しています。

 

 冒頭頁の「ごあいさつ」で、梅原先生の建設に対する発言をご紹介しました。建設が自然を破壊してきたことは事実ですが、山野、海浜が大半を占める国土においては、田畑を除いた平地に人々は集中し、多くの人々は狭小な居住空間を強いられていることも事実です。これは、理由としては都市集中があります。また一つは、山野などの傾斜地には、居住し難いというところがあります。ここでは、後の問題について考えたいと思います。山野などの傾斜地の利用についてです。情報技術と物流機構が進化した現代、山野、海浜(日本列島の海浜の長さは約35000kmです。これは地球の周長40000kmの85%に相当します)に分散居住しても不便はなく、むしろ自然共生の恩恵を受けることができます。問題は、いかにして自然を破壊することなく、快適な居住ができるか、です。

 

 その方法として、

 1)土地の改変を伴わない交通システムの採択

 2)土地の改変を伴わない循環型の設備システムの採択

 3)土地の改変を伴わない構法、建設システムの採択

 があると考えます。

 これについては特願2001-178723、特願2007-7605、特願2006-287081等で提案しています。紙面の都合上、主として3)の構法について記したいと思います。この構法については、架構、基礎について、すでに記載してきました。土地の改変を伴わない、または最小限の改変であるという視点から補足したいと思います。

 

 1)3角錐状単位架構の接地する傾斜部材の上下の接合を自由に角度調整のできるヒンジ接合としています。傾斜部材(支柱)は先端部と軸材がねじ接合され、伸縮、長さ調整ができ、1本または複数の軸材の組合わせでもって任意の長さにできます。したがって標準化された軸材と接合装置で3角錐状単位架構は、土地の改変なしに自由に接地できるのです。

 

 2)前記3角錐状単位架構の連接によって、交通手段としての立体道路、軌道等が土地の改変なしに築造できます。

 

 3)設備配管を前記立体道路、軌道等に沿わせることによって、土地の改変なしに設備配管を布設できます。

 

 4)3角錐状単位架構どうしの接合が容易にできますから、足場等はほとんど不要で樹木の伐採も最小限ですみます。

 

 5)交通システムとして、斜行エレベーターを傾斜地に沿って高架とします。立体歩(車)道は等高線状に設置します。斜行エレベーターと立体歩(車)道の交差点において、若干の樹木栽培、土地改変が伴う可能性があります。この地点に貯水池または貯水槽を設置し、雨水の流れを止めることによって土砂くずれ等は防げます。

 

 6)基礎は沈下対応、アースアンカーで地盤に連結もできますから最小限の大きさで済み、組立式ですから重機の必要もなく、重機進入道路のための土地改変はありません。

 

 以上の構成によって、山野、海浜に自然を破壊することなく居住することが可能です。RC造在来工法で建設するにしても、土地の改変は最小限にすべきです。後に掲載の和泉市の「まなびのプラザ」では、丘陵地の改変をほとんどしていません。

 環境にやさしいシステム、構造、建築は環境と共生できるのです。